注文住宅のローンと税金について
注文住宅のローンの組み方って?
注文住宅における住宅ローンについて考えるとき、まず理解しておかなければならないのは、既に完成している建物を購入する場合とは資金繰りが異なるという点です。
と言うのも、住宅ローンは物件を担保にして契約するため、基本的に物件が完成してからでなければ融資実行ができません。契約してから作られる「注文住宅」の場合、建物が完成するまで住宅ローンを組むことができないのです。
しかし、建物が完成するまでの間にかかる土地の購入費用や、建物の施工費用は通常、契約~引き渡しまでの間に数回に分けて支払うのが一般的ですので、支払いのタイミングにお金を用意できないということになってしまいます。そこで必要になるのが、住宅ローン実行までの間つなぎで借入れすることができる「つなぎ融資」という特別な融資です。
つなぎ融資は、一般的に住宅ローン申し込み時に併せて申し込みを行い、審査が通ったタイミングで融資実行となります。金利は、どの金融機関でもだいたい2~4%程度となっており、通常の住宅ローンを利用するよりもかなり割高です。また、住宅ローン実行までは利息分だけを返済し、住宅ローン実行のタイミングで清算をするのが一般的です。
ただし、「つなぎ融資」はどの金融機関でも取り扱っているわけではないため、住宅ローン検討の際にはつなぎ融資の取り扱いがあるかどうかも必ず確認しておくようにしましょう。
注文住宅のローンの返済方法とは?
住宅ローンの返済方法は、大きく分けて「元利(がんり)均等返済」と「元金(がんきん)均等返済」の2つがあります。
民間金融機関の住宅ローンでは、「元金均等返済」はあまり一般的ではありませんが、フラット35や財形融資ではどちらの返済方法も可能です。
では、それぞれの特徴を見ていきましょう。
住宅ローンの返済方法①元利均等返済
民間金融機関のほとんどが採用しているのが、この元利均等返済です。その名のとおり、元金(借入した金額)と利息(借入金額に対して発生する利息)を均等に返済する方法です。金利が一定ならば、毎月の返済金額は1年目でも10年目でも変わりません。
メリットとしては、返済計画が立てやすいことが挙げられます。ただし、返済開始当初は利息分返済の割合が高いので、なかなか元金が減りません。そのためトータルの返済金額は元金均等返済よりも高くなります。
住宅ローンの返済方法②元金均等返済
こちらも名前のとおりで、元金(借入した金額)を均等に返済していく方法です。元金の返済額を返済期間で割った金額に、利息分を上乗せして毎月の返済額が決まります。利息は借入残高によって異なりますので、毎月の支払額は変動します。
毎月一定額の元金を支払うので、利息が多い返済開始当初は大変です。しかし元金の返済が進むにつれて利息は減るので、徐々に支払金額が減り、トータルの返済金額は元利均等返済より安くなります。
元利均等返済と元金均等返済、それぞれの特徴とメリット・デメリットを表にまとめました。
元利均等返済 | 元金均等返済 | |
---|---|---|
計算式 | 元金の返済額+利息の返済額 =毎月の返済額(一定) |
元金の返済額(一定)+利息の返済額 =毎月の返済額 |
毎月の返済額 | 一定 | 変動 |
返済開始当初の金額 | 一定 | 高い |
総支払額 | 高い | 安い |
メリット |
・毎月の返済額が一定なので、返済計画が立てやすい ・元金均等返済に比べ、返済開始当初は支払額が少ないので所得の少ない人も審査に通りやすい |
・総支払額が安くなる ・将来金利が上昇したときも、元金が早く減っているぶん影響が少ない |
デメリット | ・総支払額が高くなる | ・返済開始当初は返済額が高い |
元利均等返済は、元金均等返済に比べて総支払額が200万近く高くなることもあります。
元金均等返済のほうがお得と言えますが、元利均等返済でも繰り上げ返済をすることで総支払額を圧縮することも可能です。ライフプランをよく考え、無理のない返済方法を選びましょう。
住宅ローンの減税について
まずは、家の購入にあたって初めにかかる税金の話をします。注文住宅を購入すると、各種税金がかかります。例えば、工事を契約するさいにかかる「印紙税」・土地や建物を取得したときにかかる「不動産取得税」・登記の際にかかる「登録免許税」などです。購入する住宅の価格などによっても違いますが、数十万円はかかると思っておいたほうがいいでしょう。
一方で住宅ローンを利用して購入した場合には「住宅ローン減税」を受けることができます。住宅ローン減税とは、住宅ローンの一部に相当する金額を、毎年支払う所得税や住民税から控除して(差し引いて)くれるという制度のことです。税負担を軽くして、住宅購入の後押しをするものです。住宅ローン控除の対象条件は細かく定められています。マイホームを建てる際には、対象となっているか必ず確認しましょう。また、注文住宅が長期優良住宅の場合には控除額が上乗せされたり、太陽光発電システムなどエコ商品が採用されている住宅には国や各自治体から補助金が出ることもあります。
- 住宅の床面積が50㎡以上であること
- 住宅の床面積の2分の1以上が自己の居住のために使われていること(別荘や賃貸用住宅は対象外)
- 住宅ローンの返済期間が10年以上で、借入先は原則金融機関であること
- 控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下であること
住宅ローン減税を受けるためには、「入居した年の翌年」に確定申告を行う必要があります。そして、給与所得者の場合には2年目から年末調整の際に適用が可能です。大変お得な制度なので、ぜひ利用しましょう。手続き方法をまとめたサイトはたくさんありますが、分からない場合は税務署の混んでいない時期を狙って相談してもいいでしょう。